2014/12/12第12回 
初めて巡ってきた名馬に
心躍らす伝道師なのであった Text by 成澤大輔(ダビスタ伝道師)

みなさん、『ダビスタGOLD』は遊んでいますよね。
“勝てねーっっ!”、“2回目の破産食らった!”、“こっちは3回目ーっ!”と嘆きの声が各方面からやけに大きく聞こえてくる一方で、“1頭目がいきなり重賞勝ってくれて軌道に乗った”、“初期の繁殖牝馬を売っ払って馬券で10億儲けたんで、これから生産始めます”などと、景気のよい話もちらほらあったりするわけです。
ある意味いつもの『ダビスタ』発売直後の様子と同じなんだけど、今回は少々“難しい”に傾いているようですね。

と、ここまでの文章を“なんか余裕ありやがる”とお感じになったかた、あなた鋭いですね。
そうなんです、製品版でのプレイ開始直後の生産1頭目から出てしまったのですよ、殿堂入り馬が。
初期の繁殖牝馬のファンデーションに種付料60万円のフォーティナイナーズサンを配合して生まれた“ファーン”号。
ダンチヒのクロスで少しでもスピードがついて、早熟度が高まってくれることを願ったのだけど、期待なんか一切しなかった。
短中距離型で安定Cのミスタープロスペクター系下級種牡馬の産駒だもん。
仕方ないでしょ。

それがですよ。
2歳10月に2勝目を上げ、翌年には京成杯2着でクラシックへの出走賞金を満たしたというだけで驚いたのに、秋は京都大賞典を勝って、堂々GⅠ常連の仲間入り。
後方から直線一気の末脚を繰り出して、外から豪快に差し込む競馬が得意。
最終的に有馬記念3勝、天皇賞(春)2勝、天皇賞(秋)に加えて安田記念まで勝って、GⅠ7勝、18億円の賞金を稼いでくれて、坂路とウッドチップコースとウォーキングマシンを設置し、繁殖牝馬厩舎の拡張まで賄ってくれた。

長い間『ダビスタ』シリーズをプレイし続けてきたけど、開始早々のタイミングでここまで爆発した産駒を引いたのは初めてだ。
ファーンのおかげで、ダビスタ歴20数年目にして味わったことがない感覚のプレイを楽しめた。
資金の心配をしなくてよいってのは、まことに精神衛生上よろしいですね。

ここで白状しておくと、じつはダンチヒのクロスのもつフォーティナイナーズサン産駒については、製品版に先だってプレイしていた開発途中版でも成功例をいくつも出していた。ダンチヒ2×3のクロスが生じるアジュディケーティング×ピアツーピアの配合から生まれた牝馬は、自身が重賞を勝ってくれただけでなく、繁殖としてフォーティナイナーズサンを配合(ダンチヒ4×3×4)したら、GⅠ2勝馬を出してくれた。
2例をもって成功しやすい配合と断定する気はないが、少なくとも試してみる価値はあるだろう。
また、フォーティナイナーズサンだけでなくグラスワンダーやコマンズといった種牡馬でもダンチヒクロスを作ってみるものの、まだ成功例は出ていない。

そんなわけで、いろいろ試しながら『ダビスタGOLD』を満喫している発売後1週間のダビスタ伝道師なのでありました。
もうホント、楽しくってしゃーないよ。


画面写真を撮影する機材が手元にないので、デジカメ直撮りご容赦あれ。
ファーンは8歳まで走って14勝。追込み届かずで2、3着も多かった。よく稼いでくれました。


種牡馬入りしたファーン。距離適性の下限が1600mなのは安田記念を勝ったおかげか。
ダンチヒとロベルトのクロスが同時に発生する配合を試してみたいね。

成澤大輔(ダビスタ伝道師)
1965年東京生まれ。1981年に競馬ファンとなる(当時高校1年生。その年の年度代表馬はホウヨウボーイだった)。1986年からライター、ゲーム攻略本編集制作を始め、1991年の年末にファミリーコンピューター用ソフト『ベスト競馬 ダービースタリオン』と出会う。1992年の春に『ダービースタリオンを一生遊ぶ本』(JICC出版局)を発刊し、以後15作にわたる家庭用機すべてとPC9800版の攻略本、2冊のファンブックを制作。また、プレイステーション版『ダービースタリオン』とのコラボ誌『ダビスタマガジン』(メディアファクトリー)の編集長も務めた。『ダービースタリオンGOLD』でふたたび“ダビスタ伝道師”を名乗れることに大きな喜びを感じている。
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