2014/10/31史上最強馬に選ばれたのは
やはりディープインパクト

のっけから白状してしまうと、わたしも投票に参加してシンボリルドルフに1票を投じました。
もし、プレゼントが当たったらもちろん辞退しますけど(笑)、18頭の歴史的名馬の名を前にして、黙っているわけにはいきません。

結果、ベスト5に入れませんでしたが、シンボリルドルフに投票する人の世代を考えればしかたありません。
なにしろ、1984年の三冠馬ですからね。
1世代上の三冠馬ミスターシービーと合わせて、キャリア30年級のベテラン競馬ファンにとってのアイドルホースですもの。
豪快な末脚が持ち味のミスターシービーに対して、冷徹なまでに勝ち方を知っているシンボリルドルフ。
この2頭の激闘をリアルタイムで観てきたわたしたちの世代は、今回の投票では少数派でしょうね。
ちなみに、わたしが推すシンボリルドルフ最強の1戦は、1985年の日経賞です。
ぐるっと馬場を回ってくるだけで2着のカネクロシオに4馬身差ついていたというレースです。
機会あればぜひご覧になってください。

さて、今回の投票1位はディープインパクトでした。
やはりというか、当然というか。
無敗で三冠を制したあとの有馬記念でハーツクライに敗れ、ディープインパクトもまたふつうの馬かと思いきや、翌年の阪神大賞典、天皇賞(春)、宝塚記念の3戦は圧倒的な内容で、古馬になっていっそう輝きが増したと思ったものでした。
凱旋門賞からの帰国初戦となったジャパンCの日、発走の30~40分前にメインスタンド前を歩いていると、「もうすぐ生ディープが出てくっから見やすいとこいこうぜ!」と20代前半の若い子が脇を小走りで通り過ぎていきました。
“生ディープ”……この表現は衝撃でした。
競馬場は生の馬を見に来る場所と思っていたのですが、わざわざ“生”をつけるファン層をディープインパクトは呼び込んだのでした。
現役引退から8年が過ぎたいまは種牡馬として存在感をアピールするディープインパクト。
「俺の名馬」キャンペーン事務局の担当者にちょっと聞いてみたら、ディープインパクトは2位ナリタブライアンをダブルスコアのレベルでぶっちぎりの得票数だったとか。
納得の結果です。

2位のナリタブライアンが三冠馬に輝いたのは1994年。
JRAの売上げや入場人員数がピークに近く、競馬ゲーム・メディアが隆盛を極めた時期でした。
オグリキャップやオルフェーヴルを抑えて2位に入ったのは、当時のファンの後押しが大きかったからかもしれません。

3~5位のオグリキャップ、オルフェーヴル、エルコンドルパサーは意外な結果に思えました。
去年引退したばかり、それも引退レースの有馬記念で日本どころか世界中の度肝を抜くパフォーマンスを見せたオルフェーヴルが、オグリキャップと僅差の4位とは。
その有馬記念と、4歳時の凱旋門賞で馬群を外からまとめてかわし去ったときのスピードは、これまでに観たことがないハイレベルのパフォーマンスでした。
そんなオルフェーヴルをオグリキャップが上回ったところに、投票した層のお歳を想像しちゃいます。
ね、ご同輩のみなさん(笑)

最後になりますが、どうしても気になるライバルどうしの勝敗も担当者に聞いてみました。
・ダイワスカーレット>ウオッカ(ごく僅差)
・エルコンドルパサー>グラスワンダー>スペシャルウィーク
なんですと! なるほどねえ。

第1回「俺の史上最強馬」結果発表
成澤大輔
1965年東京生まれ。1981年に競馬ファンとなる(当時高校1年生。その年の年度代表馬はホウヨウボーイだった)。1986年からライター、ゲーム攻略本編集制作を始め、1991年の年末にファミリーコンピューター用ソフト『ベスト競馬 ダービースタリオン』と出会う。1992年の春に『ダービースタリオンを一生遊ぶ本』(JICC出版局)を発刊し、以後15作にわたる家庭用機すべてとPC9800版の攻略本、2冊のファンブックを制作。また、プレイステーション版『ダービースタリオン』とのコラボ誌『ダビスタマガジン』(メディアファクトリー)の編集長も務めた。『ダービースタリオンGOLD』でふたたび“ダビスタ伝道師”を名乗れることに大きな喜びを感じている。
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